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凛は顔を真っ赤にして口をぱくぱくし、両手は突き出して何かを否定するかの様にばたばたと振っている。
凛の奴なんでそんなに驚いてるんだ? 兄なら可愛い妹を好きで当たり前じゃないか。ねぇー?
「あ、あたしだって、奏のこと嫌いじゃないけど……でも」
「凛ッ」
「はいッ!」
なんで敬語?
そんなことより――
「あれって……結衣、だよな?」
結衣が誰かと俺達の前を歩いているのだ。
しかも、俺以外の男と。
「へ? 結衣? ──たしかに結衣だけど」
「行くぞ!」
「え? ちょ、ちょっと」
俺は凛の手を掴んでぐいぐいと引っ張り歩く。
許せん! 俺の可愛い妹と仲良く帰っているなんで現実、お兄ちゃんは許せません!
「結衣っ!」
「お兄ちゃん!? ……と、凛。どうしてこんなところにお兄ちゃん達が?」
「そんなことはどうでもいいんです! お兄ちゃんはこんな男は認め……ま……せん?」
「よぉー、かなで」
「蓮!? どうしてお前が結衣と一緒なんだよ!」
結衣と一緒にいた奴は俺の親友でした。
「かなでの家に向かってる途中結衣ちゃんに会ってさ。だから口説いてたとこ」
「口説くなよ! よれより結衣、なんでまだこんなところにいるんだ? すぐに帰ったんじゃなかったのか」
「…………」
なっ、結衣が無視だと!?
無視されたことなんて無かったのに……。
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