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気持ち良すぎる重りから解放された俺は、数十分振りに身体を起こした。──前屈みになりながら。
その不自然な体勢の俺を、同じくソファーから降りた結衣と凛は首を傾げて見ている。
「あや姉、結衣、凛──悪いんだけどちょっと目を閉じてくれないかな」
「えっ──うん、わかった」
「お兄ちゃんがそう言うなら……」
「し、しょうがないわね」
あや姉、結衣、凛はそれぞれ僅かに訝しみながらも素直に目を閉じてくれた。
この隙に──
バタンッ!
俺はリビングから緊急離脱し、すぐさま自室へと駆け込んだ。
「ふーっ……もう少しで俺の息子が大変なことになるところだったぜ」
俺は額の冷や汗を腕で拭いつつ、ベッドに腰を掛ける。
俺は自分の息子の様子を確認すると、どうにか沈静化するまでこのまま大人しくしていることにした。
すると突然、コンコンというノック音が響く。
俺が突然リビングからいなくなったから、誰か様子でも見に来たのかな?
っとと、このままじゃやばいな。
俺は慌てて布団に潜り込み、返事をする。
「入っていいよ」
「……お邪魔します」
俺は様子を見に来るほどだから、てっきり結衣だと思っていたけど、意外なことに凛だった。
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