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俺はいかにも今まで寝てましたと言わんばかりに半身を起こした。
まぁ、冷静に考えるとついさっきまで一緒にいたんだから、おかしいんだけどさ……。
そんなことは気にした風もなく、凛はベッドまで近寄ってきた。
「ねぇ……ここ、座ってもいい?」
「え……っ?」
俺が許可を出す前に、凛は小さくスプリングが軋む音を響かせベッドに座った。
「ねぇ……」
「お、おう……?」
な、なんだなんだ!?
凛からわざわざ部屋にまで来て、この雰囲気は──まさか息子のことがバレてたのか!?
「あ、えーと……その、だな凛。あれは男として仕方のない──」
「奏は……」
「え──」
凛は俺の弁明中の言葉がまるで聞こえていなかったかのように遮った。
「奏は──あたしのことが、嫌い?」
「は、はぁっ!?」
俺はあまりに突拍子もない質問にバカみたいな声を出してしまい、口をあんぐりと開けた。
「だ、だって奏ってば、結衣とあや姉にバカみたいに鼻の下を伸ばしちゃってさ」
「伸ばしてない伸ばしてない! だいたい、うつ伏せなんだから見えるわけないだろ!」
「わかるもんっ! ──あたしには、わかるもん……」
凛は俺の目の前に身を乗り出す勢いで顔をグイッと突き出し叫ぶと、また戻り、ぼそぼそとつぶやいている。
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