球技大会

41/47
前へ
/193ページ
次へ
 ん~、こういう時になんて声を掛ければいいのかよくわからないけど、とりあえず、俺は凛のことが嫌いじゃないことを伝えないとな。 「凛、俺はお前のことが好きだぞ?」 「なっ!?」 「凛は可愛いし勉強も運動もできるし、自慢の妹だぞ!」  俺はグッと親指を立てた。 「な、ななな、なに言ってんのよ!? と、突然好きだなんて──ただ嫌いかどうか聞いただけなのに……」  凛は顔を真っ赤にしながら叫ぶと、今度は俯き、先程みたいになにやらつぶやいている。 「たしかに、もう少し素直になればいいと思うときもあるし、胸ももう少し欲しいとは思うけどさ──それでも俺は凛が好きだ……ぞ?」  あれ……? なんで凛のやつ拳なんて握ってるんだ?  心なしか同じ赤色なのにその意味が違う気がするし。  あー、えーと、これはあれだな、うん。殴られるパターンだな。  っておいおいおい! せっかくマッサージしてもらって疲れを取ってもらったのに、マッサージした本人にダメージを与えられてれば意味がねえじゃねえか!  仕方ない、緊急的手段だ! 「許せ、凛!」 「えっ? ──きゃっ」  俺は拳を封じるため、バッと布団で凛を包み込むように──包み抑えるように、のほうが正しいかもれないが──抱きついた。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2012人が本棚に入れています
本棚に追加