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「お兄ちゃん……結衣ですら今まで我慢してきたのに……先に凛と一緒に寝ちゃうなんて……」
ゆらゆらとゆっくり近づいてくる結衣の瞳にはすでにハイライトが消え失せ、焦点がどこに向いているのかがわからない。
一歩一歩近づく度にカクンカクンと左右に揺れる頭に合わせて、髪もゆさゆさとなびく。それが実に恐怖心を仰ぎ、俺は今すぐこの場から逃げ出したい衝動に駆り立てられた。
どうしよう。どうしたらこの危機的状況から脱せるだろうか。
いっそのこと起きてしまおうか。いや実際は起きてるんだけれど。
バフ……ッ。
俺が打開策を思案しようとちょっと目を閉じた隙に、俺の右隣に何かが乗っかる音が鳴る。
恐らく結衣なんだろうけれど、それを確認するのが怖い。
「お兄ちゃん……結衣も一緒に……」
そう耳元で微かに結衣の声が聞こえた直後、ギュッと腰の辺りに腕を回される。
いくら布団越しとはいえ、両側から美少女の妹2人に抱き着かれ続ければ、俺はもう理性で衝動を抑える自信がないぞ!
──すると突然、ドアをノックする音が鳴るのと同時にあや姉の声が響いた。
「奏君、凛、結衣、みんなそこにいるの? もう30分も経つし私も様子を見に来たんだけど……」
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