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ドアの開閉音。
と同時に言葉に詰まるあや姉の気配。
「ちょっとみんなでなにしてるの!? ──私1人除け者みたいにして……」
もちろん今あや姉が話してることは客観的に見れば独り言だ。なぜなら結衣の時と同様で、俺たち3人はあや姉から見れば仲良く眠っているように見えているはずだからだ。
「──ってそうじゃなくって!」
また独り叫ぶと、ドシンドシンと近づいてくるあや姉。
いや実際にはスリッパを履いてるみたいだし、そんな音は鳴り響いてはいないんだけれど、俺の気持ち的にはそう表現するのが正しい気がする。
ベッドのすぐ脇、結衣側にまで近づき立つと、あや姉は仁王立ちよろしく勢いよく両手を腰に当てる。
「みんなが寝ているなら、今日の夕御飯は私が作りますからね!」
そんな姿勢から発せられた言葉は、とんでもない爆弾発言だった。
「あや姉それは待って!」
「ちょっとストーップ!」
「ダメだよお姉ちゃん!」
俺は、いや俺たちは一斉に飛び起きると俺、凛、結衣がほとんど同時にそれぞれ叫び止めにはいった。
あれ? 2人とも起きてたのか?
「お姉ちゃんちょっと待って! それはあたしたちがやるから!」
「そうだよお姉ちゃん! 結衣たちがやるからお姉ちゃんはゆっくり休んでなよ!」
凛と結衣がそれぞれ早口に言うと、素早くベッドから降り、一目散に部屋を出て階段を駆け降りていく音が響く。
その2人が出て行って開け放たれたままのドアを眺めながら首を傾げたあや姉は、俺の方へ振り返ると「どうしたの?」と聞いてきた。
俺はそんなあや姉に微苦笑で応えてあげることしかできなかった。
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