始まりはいつも突然に

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「球技大会もいよいよ2日目、最終日となったわ」  いよいよ各球技準決勝戦、決勝戦、それから準決勝敗退チームでの3位決定戦のみを残すだけとなった2日目の今日、生徒会長の桜璃緒先輩が高らかに壇上で話している。  去年は2日目まで開会宣言のようなことはしていなかったから、恐らく……。 「すでに昨日敗退してしまったチームには残念だけれど、ここでお姉さんから重要なお知らせがあるわ」  璃緒先輩はさらに演台に一歩踏み近づき、その制服の上からでもわかる豊満な胸を揺らすと、それとは反対な柳腰に両手を当てる。 「各球技優勝チームにはお姉さんからのご褒美として、望みをなんでも叶えて上げるわ!」  やっぱり俺が昨日頼んだことをみんなに報告するためだったのか。 「もちろん許可は得ているわ──校長先生からね」  そう言うと、パイプ椅子に座っている校長先生に向けて投げキッスをした。  俺は──いや、恐らく全校生徒が投げキッスを視線で追うように校長を見ると、白髪薄毛の60歳前後のいい大人が鼻の下をこれでもかといわんばかりに伸ばし、顔の力が抜けきったのかふにゃりと緩んでいる。  一体どうやってあの堅物で有名──先生たちの間ではだ──な校長から許可を取ったというのだろうか。  もしあの隠しきれない女の武器を使ったというのなら、金を払ってでもお願いしたいものだ。  みんなの視線が璃緒先輩に戻るころ、投げキッスによって忘れていたことを思い出したかのように辺りがざわつき始めた。  もちろん正体は、すでに負けてしまったのであろう人たちからの惜しみの声や、まだ勝ち残っているのだろう人たちからのやる気の声などだ。
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