始まりはいつも突然に

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「ああ、別にお礼なんていいのよ。球技大会を盛り上げられるなら」  璃緒先輩は、左腕は胸を支えるように腕を組んだ位置のまま、右手でそのサラサラな髪を払うと、また腕を組み直した。  璃緒先輩の動作一つ一つが滑らかで綺麗なのに、動く度に豊満な胸が揺れ動くからつい目がそっちにいってしまう。  いけないいけない。人と話すときはちゃんと相手の目を見て話さないと失礼だからな。  俺は内心で璃緒先輩に謝りつつ、視線を胸から外す。──前にもう少し拝んでおくことにした。 「そんなことより」 「──はいっ!?」  璃緒先輩の声で我に返った俺は、視線が胸に向いていたことがバレていなかったか慌てつつ応えた。 「坊やはちゃんと勝ち上がっているのかしら? 提案者の坊やが既に負けていたら、お姉さんはちょっとがっかりよ?」  璃緒先輩は少し心配そうに眉を下げながら聞いてきた。その表情もまた可愛くて見蕩れそうになるのを必死に抑えつつ、俺は問題ないという表情で応える。 「それなら心配ないですよ。うちのクラスは順調に勝ち上がって、次の準決に出ますから!」 「そう、それならよかったわ。お姉さんも勝ち残っているから、優勝したらどうしようか今から楽しみだわ」
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