始まりはいつも突然に

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 俺はその現場を期せずして目撃してしまったわけだから知っているのは当たり前だけど、どうして結衣や凛までしっているんだ?  俺はその疑問を2人に聞いてみた。 「それはねお兄ちゃん──というか、結衣たちは女の子なんだよ?」 「…………」  ……あーんー、うん、まあなんというか、結衣が言わんとするところはわかったけどさ。  所謂あれだな。恋バナ、女子トーク、ガールズトークなどと言われる恋の話というやつか。  それであや姉が結衣たちに告白されたことを教えたわけだ。  ちょっと待てよ。いくら会話の内容にそのことが含まれていても、あの人は3年、結衣たちは1年で関わりはないはずだから、顔なんて知らないと思うんだけどな。 「奏ホント何も知らないの? あの人1年の、というより学校の女子の間じゃすごい人気なんだよ? ──べ、別にあたしは好きなわけじゃないんだからね!? そこのところ勘違いしないでよね!?」  俺の疑問に答え説明し終えた凛は、何故かそこで慌てて言葉を付け足した。 「結衣さんもお兄ちゃんらぶーだから、心配いらないよッ?」 「ちょっ、結衣ッ!?」  結衣が抱きついてくるのはいつものことだから慣れてはいるが、今はお互いに体操着同士で、ここまで周りに人がいるという状況では始めてだ。  俺は内心今まで以上にドキドキする純情と、結衣のマシュマロ的柔らかい感触を楽しむ欲情の2つの情を同居させながら平静を装いつつ、ゆっくりと結衣を引き剥がした。
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