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「なんで西園寺が俺の家を知ってるんだよ。教えた覚えがないんだが?」
「それは……っ!? ……あなたの家を探していたら偶然朝比奈さんの姿を見つけたのよ……」
「え? なんだって? 声が小さくて聞こえないんだが」
「なんでもないわ」
「え?」
「なんでもないと言っているの、藤森くん」
「はい」
眼が怖ぇよ西園寺。
「それより、いつまで私をここにいさせるつもりかしら?」
「は? いつまでって、何しに来たか知らないのにとりあえず入れよなんて俺から言うわけないだろ」
「何しにって、あなたをいじめに来たに決まっているじゃない。当たり前なことを訊かないでくれるかしら」
「俺をいじめることを当たり前という西園寺の思考に驚きを隠せないのだが、はぁ~、わかったよ、入ってくれ」
「最初から素直にそう言えばいいのよ」
俺が半身を引きスペースを空けると、擦れ違うようにして中へと入る西園寺はそんなことを言ってきた。
素直にって……素直に俺と遊びたかったって言えばいいのはそっちだろうに。
俺は温かい目で西園寺を見つめた。
「……あの、悪いのだけれど、その気持ち悪い視線を私に向けるのを止めてくれないかしら。潰すわよ?」
座りながら靴を脱いでいる西園寺が脱ぎ終えたその手で目潰しの手つきを見せてきた。
「…………」
俺は無言で真顔に戻すと、背中に頬ずりしてずっと甘えてくる結衣を引きずりながら西園寺をリビングへと案内する。
「あれっ!? 西園寺さん!? 西園寺さんも遊びに来たの?」
「……わかってはいたけれど、こうしてあなたの顔を見るとイライラするのは何故かしら」
「ねえ! 今すっごく失礼なことを言われた気がするんですけど!? 気がするんですけど!?」
るみかちゃんはソファーから腰を浮かしかけながら叫んだ。
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