双子の嵐(ジェミニ・ハリケーン)~凛編~

3/12
前へ
/193ページ
次へ
 いや……無いな。 「ちょっと……何してんのよ」 「え? 何って着替えてるんだけど」 「だから……女の子に何見せてんのって言ってんのよっ!」 「ぐはっ!!」  見事なローリングソバットをみぞおちにいただきました。 「早く来なさいよね! 玄関で待ってるから」  なにを間違えたんだ?  今日1日こんな調子だと確実にデッドエンドだ。  それだけは避けないと。なんとしても俺は生きて帰るんだ! 明日の妹達のために!  とにかく急がないと。  着替えを済ませ玄関に行くと、凛が仁王立ちで待っていた。 「お、お待たせ」 「遅い!」  やばい! かなり怒ってらっしゃる。  確実にデッドエンドが音をたてて近づいてきている。 「行くわよ」 「お、おう」  俺と凛は家を出て取り合えずバス停に向かった。 「ねぇ」 「な、何ですか?」 「なんで敬語なのよ。それより今日はどこに行くの?」 「え? 行きたい場所があるんじゃないのか?」 「はぁー? そういうのは男が決めるものでしょ」 「そ、そうなのか」 「初めてのデートなのに……」 「ん? 何か言ったか?」 「な、何でもないっ!」  変な奴。  それにしても困ったことになった。凛の好きなものがわからないから、どこに行けばいいかわからない。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2012人が本棚に入れています
本棚に追加