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俺は背筋にゾクゾクとした悪寒のようなものを感じ、仕方なくひまりもみんなのいるリビングへ案内することにした。
「ごめん遅くなった」
「もぉー遅いよお兄ちゃんっ。結衣さんもう少しで泣いちゃうところだったよ?」
「ごめんごめん」
俺は結衣の頭を撫でながら謝ると、結衣は勢いよく腰に抱きついてきた。
俺は結衣の頬をプニプニとつまんでいると、目元にうっすらと涙が浮かんでいることに気が付いた。
結衣のやつ、もしかして泣いちゃうところだったんじゃなくて本当に少し泣いていたんじゃないのか?
えへへと微笑む結衣の両頬で俺が遊んでいると、突然背後から殺気のようなものを感じた。
びくりと肩を上下させると、俺はゆっくりと振り向く。
「で、ですよねぇー……」
振り向くと、そこには早く座らせろと顔に書いたひまりが腕を組んで待っていた。
「ちょっとちょっと、奏お兄ちゃん! なんでここにひまりちゃんがいるの!?」
ひまりを俺が座っていた席に座らせた途端、もう我慢出来ないという勢いでるみかちゃんが立ち上がって訊いてきた。
ちなみに俺はあや姉とるみかちゃんが座っているソファーのテーブルを挟んだ対面側に腰を下ろした。俺だけカーペットに直座りだ。
俺はどうどうという風にるみかちゃんを宥めてから説明する。
「ひまりとはちょっといろいろあって知り合いなんだよ。それで仕事終わりでこの近くに来てたってさっきメールがあったから、なら来るか? って俺が誘ったんだ。な? な? そうだよな?」
俺はひまりに合わせろよぉという風に目配せをすると、ひまりは仕方なさそうに軽く息を吐くと、俺の後に続いた。
「はい、藤森くんとは転校してきてからいろいろお世話になってまして。それでみんなが遊びに来てると伺ったので遊びに来ちゃいました」
ニコッと微笑むひまり。
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