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「あなた死にたいのかしら?」
「…………」
あ、俺死んだかも。
俺が殺されるのを覚悟しだした時、リビングの扉が開かれた。
「救世主!!」
「え、えっ? ど、どうしたの奏くん、そんなに慌てた顔して」
凛を連れて戻ってきたあや姉が女神のように思え、俺は両手を広げ仰ぎ見るような姿勢で叫んでいた。そんな俺をあや姉は驚きながら見つめ返してくる。
もうあや姉はリアルに女神なのではと思えてきたぞ。女神といってもいいくらい綺麗で美人だし、結婚するならこんな優しい人がいいな。
「あや姉、あや姉は俺の理想の奥さんだわ」
「えっ、ちょっと奏くんいきなりどうしたの!? しかもみんなの前で! う、嬉しいけど、でもでも私たち姉弟だし……!」
あや姉が朱に染まった頬に両手を当てていやんいやんと顔を左右に振りだす。
めずらしいな、あや姉があんなに照れるなんて。
「ちょっとお兄ちゃん! お兄ちゃんの奥さんは結衣さんでしょ! なんでお姉ちゃんにプロポーズしてるのかな!」
「そうよ! 結衣が奥さんとかどうでもいいけど、起こされたから何事かと思えばいきなりプロポーズだなんてどういうことよ!」
あや姉とは別な理由で顔を赤くした結衣と凛が叫んでくる。
なんで理想の結婚相手像を伝えただけでこんなに怒られないといけないんだ。理不尽だ。
「あや姉と結婚とかありえないだろ! 俺たち姉弟なんだぞ! なんで理想像を言っただけでプロポーズ扱いなんだ! って……え? プロポーズ?」
俺は自分で口にしたことで過去の台詞を思い返した。
結衣と凛がプロポーズだなんていうから俺もつられて口にしたけど、なんでそんな言葉が出てくるんだ? そんな台詞を言った覚えは……。
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