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妹達は明日向かえに行くわけだし、俺はどこにも用事がないんだよなぁ。
「なあ凛。どこか行きたい場所は──」
「バカっ!」
「がはぁっ!!」
くっ、なにも殴らなくても。
俺が行き先に悩んでいる間にバス停に着いてしまった。
「で、どこに行くのか決めた? もうバス停なんだけど」
凛が腕を組んで下から俺の顔を覗きこんできた。もちろん上目遣いではなく睨んで。
うん、今日で俺死んじゃうね。
行き先かぁ。これがゲームなら説明書を読めば趣味はわかるし目的地も選択できるのにな。
せめて心の声が読めればなぁ。
だれか凛を攻略して攻略Wikiを作ってください!
「──え、ねえってば」
「な、何ですか」
「何ですかじゃないわよ。何回呼んでもぼぉーとしているんだもん」
「ごめんごめん。んー……じゃあ遊園地にでも行こうか」
遊園地なら近場にあるし、なにより暇になることはないだろう。
「な、なんであたしがそんな子供の遊ぶ場所に行かなきゃいけないのよ!」
凛は怒鳴ると俯いてぶつぶつと呟き始めた。
(なんで行きたい場所を当てちゃうのよ)
また怒らせてしまったみたいだな。遊園地は失敗なのか?
俺達はバスに乗り込むと、奥から2列目のシートに並んで座った。
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