双子の嵐(ジェミニ・ハリケーン)~凛編~

4/12
前へ
/193ページ
次へ
 妹達は明日向かえに行くわけだし、俺はどこにも用事がないんだよなぁ。 「なあ凛。どこか行きたい場所は──」 「バカっ!」 「がはぁっ!!」  くっ、なにも殴らなくても。  俺が行き先に悩んでいる間にバス停に着いてしまった。 「で、どこに行くのか決めた? もうバス停なんだけど」  凛が腕を組んで下から俺の顔を覗きこんできた。もちろん上目遣いではなく睨んで。  うん、今日で俺死んじゃうね。  行き先かぁ。これがゲームなら説明書を読めば趣味はわかるし目的地も選択できるのにな。  せめて心の声が読めればなぁ。  だれか凛を攻略して攻略Wikiを作ってください! 「──え、ねえってば」 「な、何ですか」 「何ですかじゃないわよ。何回呼んでもぼぉーとしているんだもん」 「ごめんごめん。んー……じゃあ遊園地にでも行こうか」  遊園地なら近場にあるし、なにより暇になることはないだろう。 「な、なんであたしがそんな子供の遊ぶ場所に行かなきゃいけないのよ!」  凛は怒鳴ると俯いてぶつぶつと呟き始めた。 (なんで行きたい場所を当てちゃうのよ)  また怒らせてしまったみたいだな。遊園地は失敗なのか?  俺達はバスに乗り込むと、奥から2列目のシートに並んで座った。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2012人が本棚に入れています
本棚に追加