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「お兄ちゃん早くー。遅れちゃうよぉ」
「ちょっと待って、今行くから」
今日から俺、藤森奏(ふじもりそう)は2年生になります。
そして、妹たちは晴れて高校生デビューだ。
「待たせてごめんな結衣」
「全然大丈夫だよー、お兄ちゃん」
ショートカット気味に肩より少し伸びた淡いピンク色の髪に赤眼、小柄な体躯の女の子。俺の妹の結衣(ゆい)と、
「待っててくれたのか、凛」
玄関で待っていてくれたこの娘が俺のもう1人の妹の凛(りん)。
腰まで伸ばした金色の髪をツインテールにし、碧眼でややつり目なのが特徴的、これまた結衣と同じで小柄な体躯な女の子。
「か、勘違いしないでよっ。別に奏を待ってたわけじゃないんだからねっ!」
「はいはい」
凛の頭をぽんぽん、と軽くなでてやる。
「じゃ、行くか」
俺と凛が歩き出すと、
「お兄ちゃんの隣は結衣なんだから!」
結衣が俺の隣にいた凛を押しのけて、俺の手を握ってきた。
「あたしがどこを歩こうが勝手でしょっ!」
今度は凛が結衣を押しのけようとしてきた。
「おいおい、俺を取り合うなよ。手はもう片方あるんだからさ」
「はあ? なに言ってんの」
照れてるな、可愛い妹め。
「結衣は右手、凛は左手な。これでいいだろ?」
俺は2人の手を握った。
「きもっ、触らないでよ」
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