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バスが遊園地前に着くまでの間、凛はずっと顔を伏せたまま頬を紅潮させていた。
「やっと着いた」
俺は伸びをして凛の方へ振り向くと目が合い、びくんっ、と肩を揺らし頬を朱に染めそわそわとしてから、俺との目線を外した。
む、またか。バスの中でも何度か同じ様なことがあったんだよな。
そんなに遊園地が嫌いなのか?
ここは兄としてしっかりリードをしなければ!
俺は拳をぎゅっと握りしめ決意を新たに、凛に手を差し伸ばした。
「早く入ろうぜ」
「なによその手」
「ん?」
「な、なんでもないっ」
ぷいっと顔を背けられてしまった。
むむ、ここで引いたら負けだ!
「凛、ほら」
「……」
俺が呼びかけると、凛は俺を一瞥してから伏せ目がちにゆっくりと手を伸ばしてきた。
「いくぞ」
俺は伸ばしかけの凛の手を握った。
「──っ!?」
凛は顔を真っ赤にしてまた俯いてしまった。
入学式の日もそうだったけど、最近ずっと顔が赤いんだよなぁ。
まだ風邪が治ってないのかな。
やはりここは兄として凛に負担をかけないように俺がしっかりリードをしなきゃな。
2人分のチケットを買って中に入る。
「なにか乗りたいものとかあるか?」
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