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──のだが。
「こっちの方向ってたしかジェットコースターよね? あたし絶対乗らないから!」
手を振り切られてしまった。凛から繋いできたくせに。
というより、凛のやつジェットコースター嫌いだったっけ?
「たしかジェットコースターだけ新しくなったんだよな? 俺、結構楽しみだったんだけど」
「だから嫌なの!」
だから?
「あのジェットコースターはもう乗りたくないの」
「誰かと来たことあるのか?」
「か、勘違いしないでよね!? 男じゃないから、結衣よ結衣!」
なにそんなに焦ってんだ。
「まあ、誰でもいいんだけどさ──ならどこに行きますか、姫」
俺が振り切られてしまった手をもう一度差し伸ばす。
「い、いきなり姫とかキモイこと言わないでよ!」
そう怒鳴る凛は、どこか恥ずかしそうに俺との目線を外した。
「あー、じゃあ飯にしようぜ飯」
「もちろんおごりよね?」
「えっ!? ──もちろんおごらさせていただきます」
「当たり前よ」
くそー凛の奴。殴る準備をしてやがった。
妹の拳にびびる兄もどうかと思うが……。
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