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「結衣と凛以外に妹なんていたの!?」
結衣は両手を軽く握り顎にあて、目はうるうると涙を浮かべている。
「ち、違うんだよ結衣。お兄ちゃんには結衣達しか妹はいないさ。今言った妹というのはゲームのヒロイン達のことだよ」
「結衣……ほんとにびっくりしたんだからね」
涙を浮かべながら俺を少し睨み、うぅ~、と唸っている。
か、可愛い。なんて可愛いんだ。
そんな目で見られると罪悪感が……。
俺は結衣の頭を軽く撫でて優しく言う。
「ごめんな、結衣。でも結衣と凛の他に妹なんているわけないじゃないか」
「信じてるからね、お兄ちゃん」
「ああ」
結衣は涙を拭い、にこっと微笑んだ。
やっぱりいい子だな。
誤解が解けた俺と結衣は店の中に入り、お目当てのゲームを見つけて手に取ろうとしたその時──
パシッ。
誰かと手がぶつかった。
俺はその手の人物を見ると、見た目は高校生くらいの小太りの男だった。
「なんだい君は。悪いけど、これはボクが頂くよ」
「俺が先に見つけたんだぞ」
「それを証言できるものはあるのかな?」
「そ、それは……」
「ないだろ? だからこれはボクが頂く」
「ちょっと待てよ!」
「……お兄ちゃん……」
「大丈夫だよ、結衣」
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