双子の嵐(ジェミニ・ハリケーン)~結衣編~

4/7
前へ
/193ページ
次へ
 俺は心配そうに見上げてくる結衣の頭を撫でる。 「仕方ない。ここはスマートに決めよう。そうだな──じゃんけんでどうだろう」 「のぞむところだ」 「「じゃん・けん・ぽん!」」  俺はパー、小太りの男はグーだ。 「か、勝った。俺の勝ちだ!」 「やったね、お兄ちゃん」  俺は結衣にむけてガッツポーズをとった。 「妹達は君に味方をしたか。これはなるべくしてなった結果だろう──是非君の名前を聞きたい」 「俺? 俺の名前は藤森奏だけど」 「そちらのレディーは?」 「結衣……です」 「奏に結衣だね。ボクは私立桜蘭高校に通う結城隼人(ゆうきはやと)というものだ。よろしく」 「俺達と同じ高校じゃん!」 「む、そうだったのか。それは知らなかった。そうだ、こういうのはどうだろう。これも何かの縁だ。情報交換をし合うというのは」 「……まぁいいけど。じゃあ俺の連絡先」 「む、赤外線というやつか」  俺と隼人と名乗る男は互いに携帯を向かい合わせた。 「ではまた会おう」  連絡先を交換し終えた隼人と名乗る男は、颯爽と消えていった。 「なんか、変な人だったね」 「そうだな……」  俺は勝ち取ったゲームを無事にレジで買い、結衣の要望で俺達はメイド喫茶に行くことになった。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2012人が本棚に入れています
本棚に追加