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「へっ!? あっ、ご、ごめんなさい。わざわざ作らせちゃって……」
「え!? お、お姉ちゃん謝らないで、これはサービスなんだよ」
「ひゃっ!? ごめんねぇ」
何をやっているんだ妹達は。お互い頭を下げ合っているし。
たぶん、るみかちゃんは結衣みたいな反応をされたのは初めてなんだろうな。
なるほど、『ツンデレ妹の愛情チョコレートパフェ』というのはこういうことか。
じゃあ俺もさっそく頂くとするか。
「お兄ちゃん待って!」
俺がオムライスを食べようとスプーンを手に持つと、るみかちゃんに止められてしまった。
「ケチャップかけてあげるね☆」
なるほど、これが『ドジっ子妹の愛情オムライス』の愛情か。
ん? これが愛情ならドジっ子は何なんだ?
俺がそんなことを考えていると、るみかちゃんはヨレヨレの字で『おにいちゃんへ』と書いてくれた。すごくヨレヨレに……。
これがドジっ子なのか。
「はい、できた」
「いただきまーす!」
今度こそ俺はオムライスを口いっぱいに頬張る。
──ぬおっ!
なんだこれ、甘すぎる……。
まるでケーキのようだ。
「どうしたの? お兄ちゃん」
「……お、おいしいよ」
「よかったぁー。るみか、お塩とお砂糖間違えちゃったんだけど、お兄ちゃんがおいしいって言ってくれて嬉しい!」
──そこを間違えちゃだめだろおいっ!
これがドジっ子だったのか……。
ドジっ子の名は伊達じゃないぜ。
俺と結衣はそれぞれの料理を食べ終え、店を出るため出入り口に向かう。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、いってらっしゃい」
「また来るよ、るみかちゃん」
「うんっ! またすぐに会えると思うよ」
ん? またすぐに? すぐに来いってことか。
俺はるみかちゃんの言葉が妙に引っ掛かりながら店をあとにした。
店を出るなり結衣は俺の手を握ってきた。
「お兄ちゃん、帰ろっ」
にこッ、と微笑む結衣のその笑顔は、今日1番の笑顔だった。
またこれるといいな。
そうだ、今度来るときは凛も誘ってみるか。
「ああ」
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