入学式

4/15
前へ
/193ページ
次へ
 しかも、そのまま先に行っちゃうのか。  ふっ。凛のやつ、ツンデレたな。 「お兄ちゃん大丈夫?」 「ああ、なんとか。結衣はあんなことしないよね」 「当たり前だよ。結衣はお兄ちゃんが大好きだもん」  結衣は満面の笑みだ。  やっぱり、持つべきものは可愛い妹だな。 「でも、浮気したらいくら結衣さんでも許さないんだからね!」 「付き合ってましたっけ!?」  結衣は両手の人差し指で、頭の上に2本の角の様なものを作っていた。 「なにそれ、鬼のつもりか? 結衣は可愛いなぁ」  思わず頭を撫でていた。 「えへへっ」  まだまだ子供だなぁ。 「じゃあね、お兄ちゃん。少しの間別れちゃうけど浮気はダメだからね」  そう言って俺の腕に抱き付いてきた。  ば、馬鹿な! あんなにロリなくせに確かに感じる柔らかな双山。  前言撤回だ! 結衣はお兄ちゃんの知らないうちに立派な女の子になってました!  ──う、マズイ。俺のジョニーが。  俺は思わず前のめりになった。 「どうしたのお兄ちゃん?」 「な、なんでもないよ。ほら、早く行かないと遅刻するぞ」 「あ、本当だ。それじゃお兄ちゃん、また後でね」 「ああ、またな」  結衣は手を振りながら走っていった。 「やっと行ったか」  それにしても危ないところだった。  もう少しで俺のジョニーが男に目覚めるとこだったぜ。  俺は足早に2階の自分の教室へと向かった。  扉を開けると、 「待ってたぜぇ、かなでー」  アホがいました。  俺が扉を閉めようとするとアホは手で制してきた。 「ま、待てって悪かった」 「かなでって言うなって何度も言ってるだろ」  このアホは1年生の時にクラスが同じだった七瀬蓮(ななせれん)。  そうだった、2年生になってもクラスが同じということは、来年も同じなんだ。 「そんなことはどうでもいいんだよ」 「そんなことって、お前人の名前をなんだと──」  ガシッ。  む、馴れ馴れしく肩なんか組みやがって。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2012人が本棚に入れています
本棚に追加