入学式

6/15
前へ
/193ページ
次へ
 そんなことを話していると、チャイムの音と同時にみっちゃんが教室に入ってきた。  みっちゃんというのは俺の1年生の時からの担任の先生で、親しみやすい女性だ。  ちなみに、現在彼氏募集中。 「みなさん、おはようございます」 「みっちゃんおはよう。あれ? いつもと化粧違うね」   「はよー。つうか、みっちゃん気合い入り過ぎ!」 「え、えっ!? そ、そんなことないよぉ」  クラスの誰かがそんなことを言うと、みっちゃんは両頬を抑えながらもじもじとし始めた。 「と、とにかく、これから入学式が始まるからみんな体育館に移動してください」 「「「はーい」」」 『平成22年度、入学式を始めます。新入生、入場』  教頭先生が告げると、ぞろぞろと新入生が入場してきた。  お、結衣と凛も入場してきた。  あいつら同じクラスになったのか。  ──あ、凛と眼が合った。  俺は小さく手を振った。 (おーい)  あれ、今目を逸らしたよな?  照れてるんだな、可愛い奴だ。 「なあなあ、今のって今朝の子だよな? どっちなんだ?」 「……今のは凛だよ」 「あれが凛ちゃんかぁ。モテるんだろうなー」 「……」  蓮のやつ顔がにやけててキモイぞ。  やっぱりこんな野郎に大切な妹を紹介できねー。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2012人が本棚に入れています
本棚に追加