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ようこそ楽園へ
5台以上の電話の音とどこからともなく飛び交う声が響く室内。
忙しさのあまり独特の緊張が漂う。
「山下警部、一年前の連続殺人事件の犯人が発見されました」
眼鏡をかけた若い警官がドアを開け部屋に入る。
「まさか、どっかの山奥でのたれ死んでたんじゃねぇだろな」
白髪混じりの頭髪とは対照的などこか凄みのある人相をした男が言った。
「半分正解です。今朝方都内のスクランブル交差点の真ん中で死体で発見されました」
手元にあるバインダーに挟んだ資料をめくりながら答える。
「死因はなんだ?」
タバコに火を点け煙を肺に送り込む。
「分かりません。ただ、コイツの脳の中から妙なものが検出されました」
バインダーに挟んでいた封筒から中身を取り出して見せた。
「こいつぁ……」
呆気にとられながら呟く山下警部。
膝元に灰がこぼれ落ちるが、それさえも気にかける余裕がないのだろう。
「電池……か?」
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