夜分遅くに

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「わぁ。ハンバーグだ。お母さんありがとう。僕ハンバーグ大好き。」 私も好きです。美味しそうですね。ハンバーグってパン粉が大事なんですよ。 入れるだけでフワフワになりますよね。 「お母さんが腕によりをかけて作ったのよ。美味しいわよ~。」 「うん。早く食べたい。早くお父さん帰ってこないかなー。もーお腹もペコペコだよ。」 「外ももう暗いし、そろそろ帰ってくるわよ。我慢しててね。みんなで食べたほうが美味しいでしょ。」 「うん。我慢する。」 偉い子ですね。私だったら、すぐに食べてしまいますもの。 ただ、いつまで待てるでしょうか。お父さんは帰って来ませんよ。 「偉いわよ。これなら良いお兄ちゃんになれるわね。」 良く見たら、お母様のお腹には新たな命が宿っているようですね。 なるほど、幸せの絶頂ですね。 私なんて。その逆です。先日、一人娘が死んでしまいました。 「ねぇ、お母さん。お父さんが帰ってくるまで、テレビ観ていい?」 「いいわよ。ちゃんと1メートル以上離れて観るのよ。」 「はーい。」 こんな何気ない日常が羨ましいです。 私は娘とのやり取りを思い出しました。  
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