夜分遅くに

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娘は笑顔で死にました。 私が大学の入学祝いにネックレスをプレゼントした、 その7分後に。 最後の言葉は 「お父さん、マジ嬉しい。ありが……」 です。 言い終わる前に、娘は後ろからきた乗用車に吹っ飛ばされました。 即死。 吹っ飛ばされた娘はまだ笑顔でした。 娘がぶらさがっていた私の右腕は脱臼し、娘を抱けませんでした。 ただただ隣に立ち尽くすのみ。 「あれ、ニュースにお父さんの名前が出てるよ。お母さ~ん。ちょっと来て。」 あぁ、あなた方も知ってしまうのですね。 「えっ?えっ?嘘……嫌、いやぁァぁぁ!」 「うわーん。お父ーさーん。」 お父さんは帰って来ませんよ。 ハンバーグが冷めてしまいますね。せっかく美味しくできたのに。  
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