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「疲れたからかな」
溜め息を吐くように零れた言葉に少年からの反応は無かった。確かに、まだ幼い彼にはこの理由は分かりづらいかもしれない。それでも、私は言葉を続けた。
「しがらみ、っていっても分からないと思うけど。本当にやりたいことがいろんな理由でできないの。我慢して我慢して我慢して。ちょっと疲れちゃったから、休憩をしにここに来たの」
ふーん、と彼が言う。
「毎日悩んでるの。何が正しくて、何が正しくないのか。私はどうすればいいのか。考えてやってみても全部空回り。頑張っても頑張っても、全部空回り。そんな私をもうみんなは良い目で見ていない」
「そうかな」
彼が言う。
「そうだよ。最近は頭を抱えることも多くなった」
悩んで迷っている長なんて皆は望んでいない。適任者は他にも沢山いる。皆が私を無理矢理引きずり落とすというなら、その時は抵抗せずこの身を差し出そう。
その覚悟はしているつもり。
「でもそんなお姉ちゃんを、なやましい、ってみんなは言ってるよ」
あまり子供の口からは聞きたくない言葉だ。心底呆れて、私は深く溜め息をついた。
「酷い話。困っている私を見てみんなは楽しんでるだなんて」
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