跳び箱の隙間から

苦いおかず

今は夏だから涼しいけど、冬になったらここでの昼食は厳しいかもしれない。

昼休み。跳び箱の一番上、「１」という数字が書いてあるマット付きの部分を開けて、中に入りながらそう思った。

８段もある大きな跳び箱は、僕が中で座って弁当を食べるには充分な高さだった。

いよいよ寒くなって、辛くなってきたら、いかなる防寒を施してでも、この場所で昼食をとってやろう、と唐揚げを咀嚼しながら心に誓っていたその時、教室のスライド式ドアが開く音がした。