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翌朝、一限目の授業の始まりを告げるチャイムが鳴ると同時に、星野がドアを慌ただしく開けて教室に入ってきた。
「いやあ、ギリギリセーフ!」
そう言い放った彼の背中には、赤いランドセルが背負われていた。
クラスの皆は目を点にした後、爆笑した。星野はしばしば突発的にこういった悪戯をする生徒だった。明るくて優しく、クラス主要グループでも中心に位置し、学年有数の人気者だ。
「いいな星野。赤ってところが」
一限の社会を始めようとしていた松岡先生がそう言って笑ったのを見て、またクラスに笑いが起きた。星野は得意そうに不適な笑みを浮かべている。
本当に彼は面白い。僕もあんな明るい人間に生まれればよかったのにと、羨望の眼差しで席につこうとする彼を見つめた。
「あんまり他の先生の前では悪戯すんなよ」
松岡先生も悪戯っ子みたいにそう言って笑った。生徒に人気があるのも頷ける。見た目も20代後半に見えるぐらい若くてスタイルも顔もいいし、男らしい性格なので、女子にも男子にも憧れの的だ。
僕にも何か一つでいいから、これ、といった華というか、特徴というか、そういったものがあればよかったのになとつくづく考えさせられた。
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