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空に輝く星は無く、薄気味悪い暗雲が遥か上空を覆っている。辺りは街灯で照らされているが、その明かりさえもが不気味に思う。
「ああ~。何か出そう。」
ぶるぶると彼女は身体を震わせた。確かにこんな夜は何かが出そうだ。
「嫌な事を言わないでよね?此処から帰り道一人なんだからさ。」
「ごめん....。でも本当に怖いんだもん!」
私達は分かれ道となる中心で突っ立ち、そこしれぬ恐怖から小さな言い争いをしていた。
中学校では風紀員である私。最近、学生全体の風紀が乱れているとか何とかで、夕方過ぎまで話し合いをさせられていた。
そのお陰で帰りは真っ暗。太陽は完全に沈み、空は月明かりも無く、ただ黒雲だけが広がる。
「ねぇ。美代ちゃん。家まで付いて来てよぉー!」
「嫌だって!!帰り私一人だよ!?そんな長い距離じゃないんだし、走って帰ったらいいじゃん!!」
「ぶぅー!美代ちゃんを待っていたから、こんな時間になったのにぃー!」
「...うっ....」
それを言われるとばつが悪い。確かに待っていてくれなければ、私は此処までの道程は、一人だったのだから。
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