7人が本棚に入れています
本棚に追加
暗闇の中、また再度歩き出した。七海の手は私の手と絡み合う。ぽつぽつ照らされた街灯を頼りに私達は七海の家へと向かった。
「どっひゃぁー!いつ来てもこの門構えと高層は凄いわ。」
「ささ、早く入ろ!」
市街地の民家にこの石固めで造られた住居マンションは、ここいらで有名。有数の金持ちが住むと言われるこのマンションに、七海は住んでいるのだ。
「七海のお父さんは社長だっけ?」
「うん。IT関係の社長だよ。」
暗証番号の四桁を入力し終えると、防犯ガラスのスライドドアが開いた。
「ちなみにだけどさ。暗証番号を間違えると、どうなるの?」
「間違った事無いからわかんないけど、三回間違えると防犯セキュリティ会社の人達が駆け付けるらしいよ。」
へぇーと聞き流しながらも、凄すぎるだろ。自分の民家と比べて溜息を吐いた。
室内にはつるっつるの大理石に、所々に高そうな花瓶には色とりどりの草花(そうか)が刺さっている。
「美代ちゃん!エレベーター来てるよ!」
「ごめんごめん。今行くよ。色々と見とれちゃっててさ!あはは。」
笑ってごまかして、私は三ヶ所ある内の中央のエレベーターに乗り込んだ。ちなみに七海の家は15階から16階。マンションのくせに二階建てだ。
最初のコメントを投稿しよう!