■福永七海

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七海の母の手にはお盆が持たれていた。部屋に入って来るなり、ほのかな紅茶の甘い香りが鼻をすすぬける。 「御飯前にとは思ったけど、紅茶とクッキーは如何かしら?」 「食べます!うん良い香り!」 もう一度香りを楽しみ。私は紅茶を一口すすった。甘い香りが鼻から抜ける。クッキーも甘くて美味しい。自然と笑顔になって行く。 「美代子ちゃんは食べてる時が、一番幸せそうよね?」 「美代ちゃんは学校でも一杯食べるもんねぇー!?」 相槌を打とうと思ったが、流石に七海の母の前だ!恥ずかしくてとても同意出来ない。 「うふふ。じゃあ一杯美味しいお料理作るから、美代子ちゃん楽しみにしていてね?」 「あ....はーい。」 結局、私は大食いの称号を手に入れてしまった。いや、事実だが他人には余り知られたく無い事実である。 「あっ美代ちゃん!今週の土日はお泊り授業だよ!?覚えてる?」 「えー!?もうそんな時期だっけ!?あ、そうか。もう夏休み前だもんねぇ。」 壁に掛けられたカレンダーを見て納得した。お泊り授業とは七月の一週二週三週に分けて行う毎年恒例の行事で、その日は外でバーベキューをしたり、体育館でゲーム大会をしたりする。言わば親睦会みたいなものだ。
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