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李禹菜達が転生してから翌年、とうとう胡桃の入学が目の前に迫っていた。
入学式前日のフレイヤ宅は忙しかった。
明日必要なものを用意し、胡桃の荷物をアパートに移す作業があったからだ。
その作業に遊びに来たヴァルキリー達はもとより、李禹菜を連れてきただけの経夜も巻き込まれていた。
「あれと…これ…」
「洋服はこれで全部?」
思いの外忙しかった。
「胡桃~!制服届いたわよ!」
フレイヤが胡桃の制服を持ってきた。
「あ、ありがとう。」
胡桃はさっそく出してみた。
「胡桃、着てみなよ。」
「うん…」
李禹菜に催促されて着てみる胡桃。
「…どうかな?姉様。」
「可愛いじゃん胡桃!」
胡桃は顔を真っ赤にした。
「経夜経夜!」
李禹菜はハイハイして荷物運びしている経夜を呼びにいった。
「李禹菜!お前じっとしてろと…」
「いいからいいから!見て見て!」
叱ろうとする経夜を適当にあしらい、胡桃を制服姿を見るようにさせた。
「…いいじゃないか。」
「本当…ですか?」
「ああ。」
胡桃はようやく喜んでくれた。
経夜は李禹菜を抱いて立たせた。
「良かったじゃん胡桃。」
「うん!ありがと兄様!」
「兄様っておい…」
李禹菜を姉と慕ってきた胡桃にとっては、李禹菜の彼氏である経夜は兄同然だった。
「しかし、前よりは人見知りしなくなったか?」
「はい。」
春休みの最中、よく経夜と李禹菜は胡桃を連れ回していろんなところへ行った。
その中で人混みに紛れたり、長蛇の列に並んだりした結果、人見知りもある程度おさまった。
「あとと…」
李禹菜がふらついたので経夜がしっかり抱き寄せた。
「あらあら、李禹菜も随分か弱くなったわね。」
経夜に代わって荷物をまとめていた恵留が茶化してきた。
「うるさいな~。いいのよ!これくらいか弱いぐらいが。」
「あのな~…」
経夜は苦笑いしている。
そのとなりで胡桃が羨ましそうに見ていた。
「胡桃?」
「へっ!?」
李禹菜はニヤニヤしだした。
「いーでしょー?」
「う…」
「お姉ちゃん!胡桃ちゃん苛めちゃだめでしょ!」
横から瑠乃に叱られる李禹菜。
「な、何よ!いいじゃない!」
「まったく…お兄ちゃんも甘やかしちゃダメだよ!」
「あ、ああ…すまん。」
去年よりしっかり者になった瑠乃に二人とも驚いていた。
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