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『もしもし』
「よう、香須美か?」
『珍しいわね。アンタが電話かけてくるなんて』
そりゃ、今こういう事態になってる訳だし。俺は更に言葉を続ける。
「今日てんちゃんがそっちに遊びに行くんだけど、俺も行っていいか?」
『は、はぁ!?何をいきなり……』
困惑した様な香須美の声。
俺はてんちゃんと由香莉が遊ぶコト、俺も一緒に来るように誘われたコト、そして、その間どうやって時間を潰すか考えた挙げ句、香須美に構ってもらいたいコトを伝えた。
『私はアンタの遊び道具かっての…』
人をいつも道具の様にこき使ってる方が何をおっしゃいますか……。
『まぁ…いいわ。ちょっと話したいコトもあるし』
「話したいコト?」
『き、来てから話すっ』
ため息混じりに、香須美から了承を得た。
最後、ちょっと気になる発言もあったが、これで孔寺蓮家に行っても退屈しなさそうだ。
「じゃあ昼頃行くわ」
電話を切る。その瞬間にてんちゃんが詰め寄ってくる。
「どうだった!?」
その問いかけに親指を立てて返事を返してやると、ニッコリと笑顔になる。夏の陽射しが似合いそうな満面の笑み。それを見ると、行動してよかったと思うのだった。
そして来るお昼。昼ご飯をテキトーに食べて、俺達はさっそく孔寺蓮宅に向かうコトになる。
「てんちゃん、準備はいいか?」
「準備万端っ!!」
シュタッと手を上げて、元気な返事のてんちゃん。小学生らしい可愛い気のある服装に身を包んで、小さなポーチを肩から下げている。恐らく遊び道具とかが入ってるんだろうな。
俺なんて半袖とジーパンだ。もちろん手ぶら。必要最低限のサイフやケータイはポケットで事足りる。
「出発しんこー!!」
かくして、てんちゃんを筆頭に俺達は孔寺蓮家に向かうのだった。
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