Acid Marionette

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というやり取りを終えて、俺は再び香須美の部屋に戻る。 入った時に、香須美はてんちゃんがいないコトを疑問に思ったのか、眉を潜める。 「てんちゃんは?」 「てんちゃん、今日泊まってくみたいだから。迷惑かけるかもだけど、よろしく頼む」 香須美に説明する。 父親になった気分。親の心、子知らずとはよく言ったもので、今の少し申し訳ない気分は、親の立場になってみないと分からないものだ。 「それはまぁ、別にいいけど……。明日の学校はどうすんのよ?」 「また後でランドセルとか持ってくる」 「あんた、将来良い父親になれるわよ」 軽く腕を組んで、ニヤリと意地悪そうに微笑む香須美。 粗方、俺の父親の姿なんて想像がつかないとでも言いたいんだろうさ。 「だといいけどな」 適当に返事を返して部屋を出る。見送りをしてくれる様で、香須美も玄関まで一緒に付き合ってくれた。 「あっ、一紀さん♪」 その途中で、志乃ちゃんに会う。俺を見た瞬間、ニッコリと笑顔になって駆け寄ってくる。 ペコリと一礼して顔を上げた時、相変わらず瞳がキラキラと輝いていた。 「今日はありがとうございました♪」 「いや……ごめんな、構ってあげられなくて」 「いいえっ。次は一緒に遊びましょうねっ♪」 そう言って、腕に絡み付いてくる。 同時に、香須美の表情がムスッとして、眉を潜めたのが分かった。 「なによ……デレデレしちゃって……」 「ん?何か言ったか?」 「なんでもないっ!ほら、さっさと行くわよ!ふんっ!」 ボソボソと何かを言った後、明らかに機嫌が悪そうに踵を返して、スタコラと我先に歩いていく香須美。 少し肩を竦めて後ろをついていく。志乃ちゃんは不思議そうに目を丸くして、俺の腕をギュッと握りしめてきた。 夏だと言うのに、何故か熱いというよりも、温もりを感じた。
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