Acid Marionette

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そして現刻、夜の8時。 自宅に帰ってから軽く晩御飯を食べて、てんちゃんの、孔寺蓮家お泊まり会の準備を完了した時刻である。 「夜道は気を付けてね、いっちー」 幼馴染みの愛華(あいか)に見送られ、夜の町へと繰り出す。着替えの入った手提げ鞄とランドセルを持って。 昼に快晴だったのは夜になっても変わらず。雲1つない、銀色の月が眩しい夜空だった。 街灯なんてなくても、月の光だけで歩けそうなくらい。 夏の夜は好きだ。 どこからともなく鈴虫の鳴き声がする。 風鈴と似たもので、鈴の音色が夏の暑さを冷ましていく様だからだ。 ………………。 さて、話しは変わって。 今俺が歩いている道には誰1人として歩いていない。辺りを見渡しても人の影はない。 それなのに、自分の足跡に混じって他の足跡が聞こえてくるのだ。 「……………………」 自然と早足になる。 言い忘れていたが、俺はホラーが大嫌いだ。他に誰もいないのに足音が聞こえてくるなんて、ホラー以外のなんでもない。 愛華について来てもらえばよかった…………。 そんな冷や汗ダラダラ、心臓バクバク状態の俺は、我慢できずに振り返る。 「だ、誰だっ!!」 ……………………。 包む静寂。やはり誰もいない。 大声を出してしまった恥ずかしさで、顔が赤くなる。 やはり勘違いか……。
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