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「おいテメェ…。どういうコトか説明してもらおうか……」
威圧する様な声で、ギリギリと締め付ける。相手の両足が浮き、プルプルと震えだす。
「あ、あなたは、我が主からあの話を聞いているはず…。知らないとは言わせない……。」
「………………」
「い、稲葉一紀が、孔寺蓮香須美に近づいた……。わ、私は…誰も近づけるなと命を受けただけ……」
「……あの話は断った筈だ。余計なお世話って知ってるか?」
絞り出す声。俺には何の話か全く分からない。ただ、相手と香菜弥さんに何らかの関係があるらしいコトだけ。その中に香須美が関係してきている、というコトか。
「邪魔をするなら、あなたも殺す」
「誰を殺すって?」
「ぐっ…!!」
香菜弥さんの膝蹴りが、相手の腹にめり込む。鈍い音と共に呻き声が聞こえる。
香菜弥さんは相手に静かに語りかける様に、ゆっくりと顔を近づける。
「ははっ!おもしれぇ…。やれるもんならやってみろよ。娘は誰にも渡さねぇし、相手が誰でもアタイは負けねぇ」
どこか嬉しそうな、抑揚の上がった声。更に相手を押さえつけ、挑発する。
「………………」
それに触発されたのか、相手は見えない袖の中からナイフとは違う、針の様な暗器を取り出す。香菜弥さんの死角。
構え、今にも襲いかかりそうな勢いだ。
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