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「良かったわね円。無事に捕まえられて」
「うん」
その香須美が、飛燕に話しかける。そして、何故かタメ口の飛燕。
聞いたところ、香須美と飛燕は昔からの知り合いらしい。詳しいコトはよく分からないが、飛燕が生徒会にいるのも香須美がいるからである。……もしかしたら飛燕も資産家の生まれなのでは?と言うのが俺の読み。
まぁ確証がある訳ではないが。帰りに聞いてみるとしよう。
「ほら、山田も捕まえれたコトだし、さっさと帰りましょ」
そう一言告げて、香須美は踵を返す。その瞬間
「あっ…山田」
飛燕の腕の中で大人しくしていた山田が、突然ジャンプして飛び出す。
向かう先は香須美。すっかり意識が外に向いていた香須美は、山田の動きに反応できていなかった。
そのまま山田の体は香須美の制服の、丁度スカート部に着地。そしてズルズルと下に落ちる。その際、爪がスカートに引っ掛かり、山田と共に香須美のスカートがスルリと落ちた。
俺の視界に、それはもう素晴らしい光景が飛び込んできた。
そう、それは純白の三角形と綺麗で柔らかそうなヒップライン。肉付きの良い太ももと、スラッと伸びた脚。まさに眼福。
そして悟った。死んだな、俺……。
「………………え…?」
香須美の動きがピタッと止まる。
顔がサーッと青くなり、錆びた機械の様に、ギギギと視線が下半身に向かう。そしてその後に俺を振り返る。
「あ……あぁ、香須美、分かるよな?俺のせいじゃないぞこれは……」
無言でスカートを持ち上げ、穿き直す香須美。みるみるウチに、顔が真っ赤に晴れ上がっていくのが分かった。そして、真っ黒な殺気。
「…………………」
「か、香須美、落ち着け!これは不可抗力だ!ほ、ほら!飛燕も何とか言えよ!」
「先輩、やっぱり変態な感じですね」
俺は死を覚悟した。もう逃げ道はない。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!」
涙を溜めた目をクワッとひん剥いた香須美の蹴りが、俺の顔面を捉えた。
初夏の爽やかな空の下、今日も俺は変わらず平和な日々を過ごしている。
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