第弐章「動き出す運命」

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「まあ良いでしょう。……実は君の居場所は数ヶ月前から解っていました」 無断で冷蔵庫を開け、中からビールを取り出す戸塚。 「それくらい気付いていたさ。妙に下手な尾行がチラついてたしな」 智久も続いてビールを取り出し、リリーにも手渡した。 「ほぉ。私達公安部はスパイ活動も行っているので、気付いているとは思いませんでしたよ」 喉を鳴らしながらビールを注ぎ込む。 智久は呆れながら見つめていた。 「まあ、そんな事はどうでも良いんです。問題は日本の現状です」 やや声のトーンを落とす戸塚。 智久も少しばかり真剣に耳を傾けた。 「いま日本では、様々な人間の連続的な行方不明が相次いでいます」 リリーを気にしてか、戸塚は日本語で続ける。
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