第十章「慟哭の様な雨に打たれた日」

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けたたましいサイレンをBGMに、智久は森の中を走っていた。 二年を費やし計画した脱獄。 今のところ、すんなりと順調に事が運んでいる。 問題は、この後だ。 すぐに非常線が張られ、全国的に指名手配されるだろう。 そうなる前に、ある人間との接触が必要不可欠だった。 その男の名は、ケネス。 監獄の中で知り合った老人の古い友人らしい。 秘密裏に進めていた脱獄を、いち早く見破ったのが、その老人だった。 事情を知った老人は快く協力してくれた。 ケネスへの言付けを条件として…。
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