第十章「慟哭の様な雨に打たれた日」

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振り向いた先には、スマートな外国人が微笑んでいた。 「やぁ、話は聞いてるよ。私はケネス、君の力になりたい。ついて来てくれ」 返答を待たずに話す彼の瞳は、優しく芯の通ったエメラルドグリーン色をしている。 やがて案内されたのは、煌びやかな豪華客船だった。 「裏社会の架け橋だよ」 そう呟くケネスは、少し寂しげなオーラを纏っている。 搭乗の際に入念なボディチェックが行われ、二人は無事に船へと乗り込んだ。 「ところで…。私の事はケネスで良いんだが、君の事を何と呼ぼうか。永宮くんだと、私には堅苦しいからね」 少し考える素振りを見せるケネスに言う。 「…智久で良いです」
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