488人が本棚に入れています
本棚に追加
『随分と連絡が遅かったじゃないか…』
皮肉を込めた威圧的な声が、電話口から響き渡る。
「仕方ないでしょ。隙が無かったんだから…」
リリーも負けじと威圧を感じさせる声で返す。
『まあ良い…。お前達の監視映像も復旧した事だしな。それよりも、事は順調か?』
それすらも気に留めず、淡々と会話を続ける男。
リリーの脳裏には、榊原の嫌みったらしい顔が鮮明に浮かんだ。
「微妙ってところかしら?…私がスパイだってバレたみたいだし」
苦笑いを浮かべる様子は、酷く哀しげに映る。
『結果的に始末できれば問題ない。…奴は居ない様だが、協力して作戦を成功させろ』
そう告げられると、通話は一方的に断ち切られた。
「……わかってるわよ」
最初のコメントを投稿しよう!