第十二章「betrayal 」

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鏡に映る自分を見つめ、物思いに耽るリリー。 なぜ自分は、あんなにも解りやすく行動したのだろう…。 「………サイン」 気付いて欲しい。 気付かれてはいけない筈なのに、気付いて欲しかったのかもしれない。 「馬鹿ね…、今更…」 意識せずに涙が流れた。 止めようのない涙が、何滴も何滴も。 床に弾け、飛び散った。 「……ハハハ」 大切な人の言葉を思い出し、無理やり笑顔を作る。 『どんなに辛くても。どんなに悲しくても。笑顔を絶やさずにいるんだよ』 「私が必ず助けてあげるから…」 狭い室内。 そこには決意の声と、哀しげな笑い声が響いていた。
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