第十六章「憎悪」

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完全に信じた訳ではなかった。 だが。もしかしたら、やり直せるかもしれない。 昔の様に笑い合えるかもしれない…。 少なくとも、このままでは父親が殺されてしまう。 そんな想いがリリーを駆り立てた。 ―――― 「しかし…、何故リリーさんを…」 「私も疑問に思ったわ。でも計画に使うのは、私じゃなくても良かったのよ」 「父が裏切ったから、娘の私を巻き込みたかっただけ…」 切なげな表情で語るリリー。 「裏切りですか…」 「そう…。永宮智久…。彼の逃亡を手助けしたの」 なるほどと言った表情を浮かべる戸塚だが、内心は驚きで満ちていた。 二人の隠された関係性に。 「それで、名前は…?」 自分の持つ情報と照らし合わせる為、遠慮がちに尋ねた。 「……ケネス。それが父の名前よ」
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