第参章「愛しく哀しい地」

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「…永宮くん。一つお尋ねしても良いですか…?」 飛行機内。 戸塚は口元をヒクヒクと歪ませている。 「……ええ」 智久は申し訳なさそうに俯き、隣の席を眺めていた。 「何故、彼女がいるんでしょう…?」 戸塚も智久の視線に合わせ、二席隣を見つめる…。 「何故でしょう…。全くもって不明です…」 「「ハァ…」」 二人は揃って大きな溜め息を吐く。 それを側で騒いでいるリリーは、不思議そうな顔を浮かべた。 「二人とも元気ないわね?私なんて初めての日本でウキウキなのに!!」 原因は自分にあるとは、これっぽっちも考えないリリーに、二人は再度溜め息を吐いたのだった…。
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