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部屋には無数の薬品が並んでいたが、一つだけ厳重に保管されている。
夜深の言葉を完全には覚えていなかった榊原も、すぐにワクチンだと気づく。
「…ふぅ。手間を掛けさせおって」
其処で榊原の脳裏に、ある憶測が過る。
リリー同様、夜深も裏切る為に此処へ向かわせたのでは?と。
行きと同じスピードで引き返す榊原。
表情は歪んでいる。
「………!!」
扉を開けた先に映ったのは…。
先程と何ら変わらぬ光景。
夜深は呑気に紅茶を啜り、戸塚とリリーは後ろで手枷を嵌め座っている。
「ワクチンはあったかい?」
嫌味ったらしく尋ねる夜深。
「ああ………」
気疲れしたのか、少しも反論せず椅子に腰掛けた。
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