第参章「愛しく哀しい地」

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「…智久さん、暫く辛抱して下さい」 空港に着いた一同。 智久は目深に上着を被せられていた。 「警視庁の者です。容疑者の護送に御協力願います」 閉ざされた視界の中、戸塚の声が響く。 両腕には忌まわしくも懐かしい、銀色の手錠がはめられていた。 暫く歩くと車のドアが開く音がし、そこで上着と手錠が外された。 「すみませんでした。空港内で姿を見られるのはマズかったので…」 戸塚が助手席から申し訳なさそうに振り返る。 「いえ、仕方ないですから。…それより、これから何処へ向かうんですか?」 「私達が拠点としている都内のビルです。そのビルは私達しか居ないので、スムーズに入れますよ」 そして車は走り始めた。
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