第十九章「再会」

4/9

488人が本棚に入れています
本棚に追加
/204ページ
「…智久。君の追い求めた幸せは、この中にある」 ケネスの言葉に頷き、智久は大きく息をしながら、その扉に手を掛ける。 あの頃と変わらず、立て付けが悪い扉は軽い音を伴い開かれた。 「完全に遅刻だぜ、…智久」 教壇の前に立つ親友は、あの日と変わらず微笑んでいる。 「…悪い」 声を振り絞り謝る智久。 堪えていた涙が流れ落ちた。 「早く入れよ。俺が大事な話をするんだから」 親友…。裕太の瞳も、涙で潤んでいる。 「お帰り、智久」 奈月が微笑んで手を伸ばす。 それを優しく掴んだ。 「もっと早く会いたかったんだけどな。全てが終わるまで待てって言われてな」 良樹が夜深を少しだけ見ながら言う。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

488人が本棚に入れています
本棚に追加