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「全く…、酔っ払いの相手は疲れるな…」
智久は溜め息を漏らし、椅子へと腰かけた。
「お疲れ様」
不意に頬へと刺激が走る。
優奈が缶ジュースを押し当てたのだ。
「うわっ…と、優奈か…」
「えへへ、ビックリしてやんのー」
可愛らしくおどける姿は、あの頃のままだった。
「ありがと。…でも本当に良かった。優奈や皆が無事でさ」
そう言った視界には、ケネスにヘッドロックをかけるリリーが映る。
「綺麗な人だよね。…お似合いじゃない?」
「だよなぁ。あの親子を見てると、心が…」
そう言いかけた時、優奈が苦笑しながら遮る。
「違うって!!智久くん達がってこと」
「………?」
訳が解らずキョトンとする智久。
優奈が交互に指を差し、漸く気づいた。
「な、ないない!!俺とリリーは、そんなんじゃないよ」
慌てて否定する智久に、優奈は意地悪な笑みを浮かべる。
「ふーん。怪しいなぁ…」
その後も暫く他愛のない会話を続けた。
そんな時、優奈が静かに口を開く。
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