488人が本棚に入れています
本棚に追加
/204ページ
「…つまり。その廃村が、この事件の鍵ってわけですね?」
その問いに、戸塚は黙って頷く。
一通り、事件性を理解した智久だったが、一つだけ気になる事があった。
「夜深…。いえ、大島大悟の陰が見えないのですが…」
顔をしかめて言い放つ智久。
その顔は、憎しみや恨み。全ての負の感情が取り巻いている様に感じられる。
「…これを見てくれますか?」
戸塚は一通の封筒を取り出した。
宛名には、智久の名前が書かれている。
「…………」
それは間違いなく、夜深からの物だった。
『久しぶりだね。今頃、君は何処にいるんだろうか。
今は解らないから、この手紙は公安の連中に渡しておいたよ。
でも君は、僕から逃れられない。
……いや、逃げてはいけないんだ。
君が此の手紙を読んでいる頃、大掛かりな事件が起きている筈だ。それを手掛かりに、僕を捜し当ててみなよ。
面白いゲームを見せてあげる』
手紙には、そう書かれていた…。
最初のコメントを投稿しよう!