第四章「神隠し」

7/11

488人が本棚に入れています
本棚に追加
/204ページ
「永宮くん。…犬鳴村なる物をご存知ですか?」 不意に戸塚が尋ねる。 突拍子も無い問い掛けに困惑したものの、すぐに頭の情報を引き出した。 「…1889年頃まで、福岡県鞍手郡に存在していた村の事ですか?」 その答えに、戸塚は苦笑いを浮かべてしまう。 「はは、真面目な質問なら正解なんですがね。…私が言う犬鳴村とは、都市伝説の事です」 「そっちでしたか…。話を聞いた事はありますが、実在した犬鳴村とは関係ないんですよね?」 やや、ほぐれた雰囲気になり、二人はソファーへと腰掛けた。 「ええ、全く関係ないです。そもそも、都市伝説の犬鳴村は存在しない村ですし…」 「その都市伝説が、どうかしたんですか?」 不思議そうに問い掛ける智久に、戸塚はゆっくりと語り始める…。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

488人が本棚に入れています
本棚に追加